SRM本社訪問
パワーメーターの聖地へ
2022年秋、パリでのトラック世界選手権を終えた後、ドイツ・ケルン郊外にあるSRMを訪ねました。
理由はパワートレーニングのコーチとして、SRMの歴史を知ることで何か得るものがあると思ったからです。SRMが本社を置くのはケルン郊外の小さな町ユーリッヒ。
ケルンから電車を乗り継いで、最後は路面電車で向かいました。
エルゴメーターを実走へ
社内はさながら博物館でした。SRM創業者のウーリ・ショーバラーが1986年に始めて製作した”世界で最初のパワーメーター”を見た時は感動を覚えました。
ウーリがパワーメーターを開発した理由は、「エルゴメーターを実走で使いたい」です。
走行中のパワーが実測できれば、ライダーの身体能力のみならず、坂を登るパワー、トラックで目標タイムを出すパワーが分かります。さらにはライダーの仕事量も知ることができ、それらの情報からトレーニング計画までがクリアになります。
最初にSRMに目をつけたのはドイツのナショナルチーム。 当時、チーム・タイムトライアルで世界のトップに位置しており新たな強化法を探していました。彼らは先頭の選手と後方の選手のパワーが分かれば先頭交代を最適化することが出来ると考えたのです。
次にこの新しい機材に記事に着目したのツール・ド・フランス総合優勝3回、世界選手権2回優勝を誇るグレッグ・レモン(アメリカ)。
彼は「SRMは私のトレーニングに革命をもたらした。自転車競技で最も大きな発明だ。」とその出会いを回顧します。
さらには4kmインディビデュアル・パーシュートでバルセロナ五輪金メダルを獲得した”Mr. プロローグ” クリス・ボードマンとそのコーチ、ピーター・キーンにその有効性が認められました。
SRMの本社内を歩いていると、パワートレーニングの歴史を知ると共に自身が憧れたプロの世界が懐かしく思い出されました。
サイクルスポーツ様に掲載頂いたSRM訪問記
中田尚志
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